カブのクラッチが徐々に切れなくなってきて繋がりが悪い、どうにかならないものか?
そもそもカブのクラッチって他とは違うというけど、どう違うのか?や原因の究明の手掛かりから自動遠心クラッチの仕組みについてもわかりやすく解説します!
※2023年7月23日に最新情報を更新しました。
自分で直したいけど難しいのかな?お店に頼むと幾らくらい掛かるのだろう?
という方にも参考になるような記事にしていますので是非読んでみてください。
カブのクラッチが切れない原因
カブのクラッチが切れない原因としては、クラッチ板の摩耗やウェイトの圧着不足などが考えられます。
クラッチ板は消耗品ですので、長く乗れば消耗していきます。
また後にご説明しますがカブのクラッチは「自動遠心クラッチ」という特殊なものになるので、内部構造で本来遠心力によりクラッチが動力に繋がる仕組みが、何らかの影響で圧着不足を起こしてしまっているということです。
クラッチがきれない時の症状
クラッチが切れない症状の代表的なものは「ギアが入りにくくなる」という症状です。
アクセルを開けているのに繋がるまでに時間を要す「滑る」間隔が出てきた、またペダル自体が踏み込みにくくなる・重く感じる・引っかかるなどもあります。
他にもキックが滑る、停車時に勝手に進もうとするなどの症状が出たらクラッチ周りの調整や修理が必要になります。
遠心クラッチの仕組み
カブは特有の「自動遠心クラッチ」を採用しています。これによりクラッチを握る行為を無くしスクーターに似た発進時のスムーズさを得ています。
「蕎麦屋の片山さんが片手で運転できるように」という有名な開発秘話があるこの自動遠心クラッチ。
その言葉通りクラッチ操作を如何に無くして、片手でも運転できるかを追求した形です。
この自動遠心クラッチは開発時より今に至るまで、基本的な構造は殆ど変わっていないというから驚きです。
この自動遠心クラッチの仕組みを簡単に言えば、名前のようにウェイトに掛かる「遠心力」を利用した機能。
アイドリング時などの低回転では、遠心力が足りずクラッチ板が圧着出来ないためにエンストしないが、加速時の回転数によりクラッチ板が繋がり動力に伝わるという理屈。
またシフトチェンジの際にはチェンジペダルを連動させることにより、ペダルを踏み込んだ際の動きでクラッチアウターがクランク側に押し込まれ「クラッチを切る」という状態にできるようにしました。
この自動遠心クラッチについては、画期的と言えるとても細かい工夫が多岐にわたり行われており、当時他のメーカーが対抗していろいろな多機能クラッチ開発を試みましたが、結局現在はこのカブの自動遠心クラッチ以外は残っていません。
修理に必要なもの
カブのクラッチの修理に必要なものは色々ありますが、クラッチ調整だけならレンチとドライバーのみで出来ます。
クラッチを解体するにはラジオペンチ等からバンドホルダー等の専用工具的なものが必要になるのでご注意ください。
ここではクラッチ不良の対処に最も多い「クラッチ交換」に必要なものを列挙しておきます。
- 六角レンチ(型式によりアウターカバーが六角ネジ式のものがあります)
- ドライバー類
- スパナやレンチ類
- クラッチロックナットレンチ(ロックナット外し)
- インパクトドライバー(電動ドライバー)
- エンジンオイル(交換用品一式)
- パーツクリーナー
などになります。
修理方法
遠心クラッチの修理について一連の手順を載せておきます。
クラッチ丸ごと市販品やリビルトへの交換だけだと、そこまで難しい作業ではないので参考にしてください。
- エンジンオイルを抜きます
- エンジン右側のブレーキペダルなどを外します
- クランクケースを外します
- 備品やクラッチアウターカバーを外します(ネジ4本)
※カバーが固着している場合が多いのでマイナスを刺して慎重に剥がしましょう。 - ロックワッシャーの爪を折ってロックナットを外しワッシャーを抜きます。
※インパクトレンチがあったほうが便利です。 - クラッチ本体を解体します
※クラッチキットなどの交換で済ます場合は⑧の組み付作業に飛びます。 - クラッチ板を交換
- クラッチ組みつけワッシャーを入れナット締め付け
- ワッシャーを溝に合わせてロックする
- アウターカバーを付けベアリングなどを組みつける
あとはガスケット類を交換しながらカバーを取り付け、ペダルなどを組みつけます。
エンジンオイルを入れたらクラッチ調整して完成です。
クランクケースなどは普段開けないので、この際に内部をパーツクリナーで清掃しておくと良いでしょう。
締め付けのトルクなど充分に気をつけて、サービスマニュアルや交換品に備え付けてある説明書を参考に行ってください。
遠心クラッチの調整は
- 固定ナットを僅かに緩める
- センターの調整マイナスネジを一旦「時計回り」に一回転
- 「反時計回り」に軽く引っかかるまで戻し
- また「時計回り」に8分の1回(規定値)
- センターの調整マイナスネジが動かないように気をつけながら固定ナットを締めて完了です。
ショップでの修理費用
カブのクラッチ修理についてお店で頼む場合の費用の目安はおおよそ15,000円程度
交換する部品にもよりますが、概算ではこのくらいの費用になると思います。
先にも述べましたが遠心クラッチを全バラしてのクラッチ板交換などの修理は、初心者にはかなり難易度が高い作業になります。
こういった場合はお店のプロにお任せしたほうが間違いありません。
クラッチの丸ごと交換についても、専用工具が若干必要になるので、お持ちでない場合は依頼したほうが賢明かもしれません。
カブの遠心クラッチが切れない場合の症状や修理についてお話してきましたが、カブ自体元々が長く乗ることができるポテンシャルですので、ご自身でできるメンテナンス範囲を広げておくのは一つの手段です。
異常を感じたらまずは調整をすぐに行ってみて、それでも改善しない場合は修理になりますが、特殊なクラッチ構造なので、内部まで解体しての作業は慣れないと難易度が高くなります。
しかしさすがに構造が殆ど変わらないクラッチで、メジャーな販売台数を誇るカブなのでアフターパーツは豊富です。
クラッチ本体ごと購入してもガスケットなども付属して6,000円〜から販売されていますので、特殊工具と合わせても10,000円前後で新品のクラッチに交換できることになります。
この機会にご自身でトライしてみても良いかもしれませんね。
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