原付バイクはガソリン満タンでどれくらいの距離を走行できると思いますか?

バイクを買うときはパワーや見た目など色々な性能を見て選びますよね。

その中でも最近は「燃費」や「走行距離」を気にする人は多いのではないでしょうか。

自分のバイクの走行可能距離を知っておくことは、急なガス欠などのトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

満タンで走ることが出来る距離と、走行距離を伸ばすための機能や方法を見ていきましょう。

満タンの原付の走行距離

画像引用:ジモティー群馬版

満タンでの走行距離は同じ原付でも大きく変わります。その差は数百キロ以上変わることもあります。

そもそも走行可能な距離というのは燃料タンクの量と燃料消費率(燃費)で決まります。

たくさんの燃料を積んで、燃費の良いエンジンを使えば走行可能距離が伸びるわけです。

原付バイクは走れる距離が短いと考えている人は案外多いのではないでしょうか。それは車体が小さく燃料があまり入らないというイメージがあるからです。

確かに大型のバイクに比べると原付バイクの燃料タンクは小さく、2リットルしか入らないものもあります。

しかし原付の50ccエンジンは大型バイクに比べ「燃費」が格段に良く、少ない燃料でもたくさんの距離を走ることが出来ます。

カタログを見ると、原付の燃費は悪いものでも40km/l。

つまり燃料1リットルで40kmを走ることが出来るわけです。

ギア付きバイクでは100km/lを超えるものもあります。

有名なところでホンダの「スーパーカブ」は燃料タンクに4リットルしか入りませんが、燃費が180km/lというモデルがあり、単純に考えれば720kmもの距離を走ることが出来るのです。

スクーターなど、ミッションのないモデルは比較的燃費が悪いことと、収納スペースを確保する関係上燃料タンクも小さくなってしまい、走行距離が200km台のものが多くあります。

ガソリン代に換算すると

燃費が変わればガソリン代にも大きく影響してきます。

タンク容量が同じ10リットルで燃費が40km/lのA車と100km/lのB車があるとしましょう。

ひと月の走行距離が1000km走るとすればA車は月に2回以上給油が必要ですが、B車は1回の給油で済みます。つまりひと月でガソリン代が倍以上変わってくるのです。

原付の大きな利点の一つは「経済性」です。車体価格が安いこともありますが、このような燃費の良さも原付の大きな特徴です。

カタログの数値と実際の距離は違う

ここまで原付の燃費の良さを見てきましたが、「カタログに書いてある燃費ほど走れなかったぞ」 と思っている人はいませんか?

その疑問は正解です。実際の燃費はカタログに書いてある数字より悪くなります。

なぜそんなことが起きるかというと、カタログに書いてある燃費は 「定地燃費」 と言って平坦な道をひたすら30km/hの速度で走り続けた場合の数値なのです。

実際の走行では信号で止まったり、坂道を登ったりといろんなシチュエーションがありますよね。もしカタログに定地燃費と書いてある場合、その数字を実際に出すのはほぼ不可能と考えていいでしょう。

参考にするならWTMCモードの値

定地燃費はほぼ実現不可能な数字ですが、もう少し参考になる数値もあります。

それが「WMTCモード値」です。

これはシャシーダイナモと呼ばれる計測機器の上で、発進・加速・減速・停止といった動作を繰り返す、世界統一基準のモードに沿って、より実走行に近い環境で燃費を計測した値になります。

2013年ごろより始まった計測方法で、比較的新しいバイクのカタログには定地燃費と併記されるようになりました。

参考までに実際のカタログ数値を見てみると

となっています。

実際の燃費を考える場合はWMTCモード値か、定地燃費の6~7割程度が近い値だと考えるといいでしょう。

ギア有りのバイクならより長く走れる

同じ排気量ならギア付き車両のほうが燃費が良くなる傾向があります。

これはエンジンのパワーをどれだけ効率よく伝えられるかが大きく影響するからです。

スクーターなどのギア無し車両ではエンジンからの動力をプーリーという機構とベルトを使ってタイヤに伝えています。

これによって変速操作が不要になるのですが、この時ベルトが滑りながら動力をタイヤに伝えるので、エンジンパワーをうまく伝えられないのです。

また、ベルトには多少の伸縮性があるのでエンジン回転数が上がっても瞬時に動力が伝わらずに力が逃げて損してしまいます。

これに対しギア付き車両はエンジンからタイヤまではギアとチェーンを使って動力を伝えています。

ギアは動力の99%ほどを伝達できるので、エンジンパワーをきれいにタイヤに伝えることが出来ます。

坂道などスピードが落ちた場合もスクーターなどはアクセルを大きく開けて回転を維持する必要がありますが、ギアがあればシフトダウンすることで適切な回転を選択でき、燃料の消費を抑えることが出来るのです。

アイドリングストップ機能つきにも注目

最近の車両でアイドリングストップ機能というのを聞いたことはありませんか?

これは車両が信号などで停止した際、エンジンを自動的に停止させ、アイドリング時の燃料消費を抑えるための機能です。

毎日1時間のアイドリングストップで年間2~3万円の燃料代を抑えられるといいます。

毎日1時間のストップを出来るかは通勤距離や環境などにもよると思いますが、無駄なアイドリングを無くせば燃費は向上します。

しかし、アイドリングストップ機能がない車両で信号待ちの時にエンジンを停止させるのはあまりオススメできません。エンジンをかけるためには当然セルモーターを回しますが、頻繁にセルを回すことでバッテリーに負荷がかかってしまいます。

またエンジンは始動時に燃料を大量に消費するので、短時間のアイドリングストップはむしろ燃費を悪化させてしまう恐れもあります。

アイドリングストップ機能搭載車はこういった対策にバッテリーが強化されていたり、少ない燃料でエンジン始動ができるように、準備状態でエンジンを止めたりするなどの機能が追加されています。

走り方によって距離が変わる

走り方を工夫すると走行できる距離を大きく伸ばすことが出来ます。

よく言われるのは「急」のつく動作をしない、というものです。

急加速は当然多くの燃料を消費しますし、急減速が必要な運転は、必要のない区間でアクセルを開けすぎている可能性があります。

ゆっくりとスムーズに加速して、エンジンブレーキを使いながらゆっくりと減速する。そんな運転ができれば燃費を向上させることが出来ます。

極端な言い方をすれば、急加速もせず減速もしなければ「定地燃費」という燃費の最大値にどんどん近づくことが出来るわけです。


見てきたように原付といっても200Kmから700Km以上走れるものまで数多くの種類があります。

エンジンパワーや乗り味などの性能は自分では大きく変えることはできません。

ですが、自分の操作によって大きく変えることが出来る「燃費」という性能に注目してみると、バイクがより面白くなりますよ。

Twitterでフォローしよう