2ストバイクのキャブをそろそろ清掃しようかと思っているけどやり方がわからない。

そもそもキャブレターってなんの役割を果たしているのか?清掃が必要なのか?という疑問から実際に自分でやれる作業なの?という疑問まで仕組みや構造もしっかり説明していきますので

バイクにとって大事な装置「キャブレター」について改めて学ぶ機会に是非ご利用ください!

記事の更新情報

※2023年7月25日に最新情報を更新しました。

2ストキャブの清掃方法

画像引用:Namotech Cycle Blog

汚れが気になる2ストキャブ。実際の清掃方法は以下のようになります。

  • ジェット類の詰まり除去
  • フロート室内の洗浄

キャブの清掃は「汚れと詰まりを無くす」という目的で行います。

小さな穴に詰まるゴミや部品についた汚れなど、目視では見えにくいものまで除去する必要があるので、丸ごとじゃぶじゃぶ洗えば良いわけではありません。

きちんと理解してから取り組まないと、形上は同じように組み上がったけど全くエンジンがかからないという最悪の状況になります。

とにかく細かい部品が多く紛失に注意することと、デリケートな部品ばかりですので、無理に曲げたり傷つけないことを忘れないでください。

また、パイロットスクリューやアイドルスクリューは「調整用のネジ」ですので、外す前に回し量を事外す前に予めわざとゆっくり締めてみて、「何回転回るか」をメモしておき組みつけ後はまた同じ量だけ戻す必要があります。

清掃に必要な道具

必要な道具は以下になります。

キャブレター分解する際
  • 細めのドライバー(+と−とニードル)
  • ラジオペンチ(ピンが抜けない時など)
  • プラスチックハンマー(固着外し)
清掃用具
  • キャブクリーナー・エンジンクリーニングフォームなど
  • パーツクリーナー
  • 受け皿(部品保管・薬剤漬け用にも)

可能であればフロート室の新品ガスケットも用意

以上のようなものになります。

清掃の手順

まずはキャブを外すまでは出来ていると仮定しますが、ここまでも難しいという人は危険ですから、触らない方が良いでしょう。

まずエアクリボックス、バンド、スロットルワイヤー、燃料ホースを完全に外します。

  1. フロートチャンバー内のガソリンを抜く(底ドレン口から)
  2. フロート室を開ける(ガスケットを削らないように注意)
  3. フロートピンを抜きフロート類を外す(フロート周りを曲げたり部品紛失しないように注意)
  4. ジェット・ホルダー類を外す(傷つけないように注意)
  5. アイドル・パイロットスクリューを外す(回し量のチェックやバネなどの細かい部品紛失注意)
  6. 洗浄作業
  • ジェット類
  • ベンチュリ路
  • フロート室

各部のクリーナーによる吹き付けや目詰まり除去、汚れがひどい場合は、灯油や専用液に浸けておくなど、という流れになりますが、まず各部品の名称を覚え、どこがそれに当たるかわからないという場合は触らないこと。

組みつけは逆の手順になりますが、フロートバルブに傷をつけたり、フロートカバーのガスケットを痛めたりすると見た目は綺麗に組み上がっていても、ガソリンが漏れてきたりしますので慎重に行ってください。

 

 

キャブレターとは

キャブレターとは、ガソリンなどの燃料を空気と混合する装置(気化器)。

燃料供給装置の種類で、電力は使わずに空気の力(負圧)で燃料を吸い上げ噴射しています。

ベルヌーイの法則というものを利用したベンチュリ機構という構造を用いて、エンジンに混合気を送り燃やしやすくする装置です。

昔からあらゆる乗り物に備わっており、その役割を果たしています。

現在は電子制御によるFI(フューエルインジェクション)化が進んでいますが、その歴史はかなり古くガソリンに対しては知る限り1883年頃にダイムラーが霧吹き状のキャブレターを開発したのが、今のキャブに最も近い存在ではないでしょうか。

キャブレターの仕組み、構造

キャブレターの簡単な仕組みや構造は以下のような感じです。

  1. エンジン内のピストンが下がることにより発生する吸入負圧により、エアクリ側から吸い込む空気をキャブに備わったベンチュリ穴を通すことで流速を加速させます。
  2. これによりキャブレターの中で「ベンチュリ側」と「フロートチャンバー内」との圧力差を生じさせることで、フロートチャンバー内のガソリンが唯一の道となる「ジェット」を通じて逃げるため、大気差により燃料が吸い上げられ(押し上げられ)るわけですが
  3. この逃げ道の「ジェット」の穴から、霧状になって噴射され蒸発しながら吸入空気と混合されるという仕組み。

2ストキャブでは「強制解放式(VM)」というアクセルワイヤーで文字通り強制的にスライドピストンを引っ張って解放させるキャブになります。

なぜ清掃が必要なのか

キャブの清掃の重要性はエンジン性能を引き出す最重要パーツだからです。

永く使うことで内部にはやはり汚れや小さな燃料カスが溜まっていきます。

それは目視では分からないくらいのものかもしれませんが、液体と空気が通る道でのこの異物は流れを変え、あるいは流れを遮ってしまい本来の役割を果たせなくなってしまうのです。


FI(インジェクション)化が進む今も、キャブレターの存在はまだまだ健在で、電子制御ではないからこその味があり、個性を好むライダーも少なくありません。

清掃のみならず、キャブセッティングもとても重要ですが、これをバッチリ合わせられるようになると更に自分の愛車という感覚が増します。

ちなみに飛行機にも使用されており、かの零戦のような戦闘機もキャブ仕様で、零戦が凄かった理由の一つには備わっていたキャブの仕組みが特殊だったから、という話もあるくらい性能に影響する重要なの装置なのです。

愛車の性能をしっかり発揮する為にも、キャブの清掃はしっかり行いましょう。

ライダーちゃん
愛車だからこそ丁寧なメンテナンスをしないとだねっ!

Twitterでフォローしよう