原付に乗っていて「エンジンブレーキ」についてよくわかっていない・・そんな方に向けまずは「エンジンブレーキ」についてわかりやすく解説するとともに、ブレーキごとの3種類の具体的な方法やその操作時の注意などをしっかり説明していきます!

記事の更新情報

※2023年7月21日に最新情報を更新しました。

原付のエンジンブレーキの方法

画像引用:バイクのはてな

原付のエンジンブレーキのやり方は「アクセルを戻す」です。

原付のエンジンブレーキは、アクセルを戻すことで発生し「減速」の補助をします。

エンジンブレーキの理論については次に詳しくご説明しておりますが、何か特殊なスイッチがついているというわけではありません。

「自分のにはエンジンブレーキのスイッチが付いてない」

と慌てないようにしましょう。

そもそもエンジンブレーキって何?

そもそもエンジンブレーキとは、本来は動力源になるエンジンの出力を絞ることによって生じる回転抵抗を利用した減速の為の制動方法のこと。

アクセルを開けている時(エンジンが動力として駆動系に出力している時)はエンジン側のパワーで前に進むのですが、アクセルを戻すと吸気バルブが閉じて回転数が下がり、エンジンよりも駆動側の抵抗が勝ってしまうのでその抵抗力で減速するイメージです。

簡単に「力」の流れを書くと

  • アクセルONの場合

エンジン(クランクシャフト)→ベルト→タイヤ

  • アクセルOFFの場合

タイヤ→ベルト→エンジン(クランクシャフト)

と書くとイメージできますでしょうか?

また、「MT車」の場合は、シフトダウンによるギア比差での回転数抵抗で行うブレーキのことも原理は同じなので「エンジンブレーキ」と呼びますが、ここではまず共通する「エンジン抵抗」の減速制動についてお話していき、後半で「MT車」の部分についてお話していきたいと思います。

エンジンブレーキを使うメリット

エンジンブレーキを使うメリットは以下のようなものがあります。

  • ブレーキフェード防止
  • ブレーキパッド温存
  • 燃費向上

まずはブレーキを繰り返し使うことで起こる「フェード現象」を防げるということ。

これはブレーキを下り坂などで繰り返しブレーキを使用することで、ブレーキパッドが摩擦により耐熱温度を越えてしまい素材が分解しガス化、受け側になるブレーキローターとの間にガス膜が発生します。

この為、パッドとローターの間に潤滑油が入ったような状態になり制動に必要な摩擦抵抗が得られなくなるという症状です。

また、エンジンブレーキを使用することでこのようなフェード現象を防ぐだけでなく、パッド自体も温存できます。

しかし1番のメリットはやはり最初に挙げた「フェード現象」の予防でしょう。

実際に体験した人はわかると思いますが、レバーを握っても「スー」っと進んでいく怖さはとんでもないものです。

その場合も「ブレーキを必要とする場面」なので、殆どが「下り途中のカーブ手前」のようなシチュエーションで、事故や転倒に繋がるしかない場面の時が多いのです。

燃費向上にどのように影響するかは次でお話します。

燃費向上も?

エンジンブレーキは理論上燃費向上に繋がる理屈はあります。

これはアクセルを戻すことで、燃料を送ってはいないためにアクセルを回している状態より「燃料を使わないから」という理屈にはなります。

しかし、制動後の立ち上がりでアクセルを「がばっ」と乱雑に開けたりすれば、当然その分燃料を消費しこの部分は無駄になりますので一概に燃費向上しますよ!と断言しにくいのが実情です。

エンジンは壊れないの?

エンジンブレーキの使いすぎによる故障というのはありません。

厳密に言えばそのせいで壊れた、と特定しにくいと言った方が良いかもしれません。

最初に述べたように幾つかの部分で発生する「抵抗」を利用するので、抵抗による負担は各所に何かしら掛かってくるとは言えます。

MT車の無理なシフトダウンによる「ギア比が合わず回転数がレッドゾーンに入る」ことで起こる故障や、またはクラッチやミッションが壊れたりというのありえる故障ですが、アクセルを戻した時の「抵抗」によるエンジンブレーキではそこまで大きな現象が起きるわけでは無いので「わかりにくい」というお話です。

ブリッピング


ちなみに先に述べました「MT車」の「シフトダウンによる負荷抵抗」によるエンジンブレーキについて少しお話して、その際に使う「ブリッピング」という技術について書いておきます。

簡単に言えばマニュアルでは、ギアを落とす(シフトダウン)させることにより、低いギア比で走行するので、そのギア比に見合う負荷により抵抗がかかるという理屈。

ただし、その際にタイヤ1回転に対してどれだけのエンジン回転数が必要、とギア毎に設定があるのでギアを落とすとアクセルを回していないのにエンジンの回転数が低いギア比に見合う回転数になります。

これに対しシフトダウンする前にアクセルを回し、回転数を合わせる事で「滑らかなシフトチェンジ」を行う為の技術を「ブリッピング」と言います。

ブリッピングのやり方

ブリッピングのやり方自体は難しくないのですが、タイミングに注意しましょう。

  1. クラッチレバーを握る
  2. アクセルを軽く吹かす
  3. クラッチを離しシフトチェンジ

というだけなのですが、実際にはアクセルを吹かすタイミングで足はシフトを落としており、回転数がギアに対し適度になった時にクラッチを離すという流れです。

レースなどで使われるギア比の間隔が近い「クロスミッション」などは一度に2〜3速落としたりしますが、一般的なバイクでは急制動になったり故障に繋がるので1速ずつ丁寧に落としましょう。

尚、このMT車の「エンジンブレーキ」は、ブリッピングも合わせて燃料を消費するので燃費は悪くなると思われます。


それでは最後にバイクを止める為の3つの方法をまとめておきます。

  1. フロントブレーキ
  2. リアブレーキ
  3. エンジンブレーキ(MT車のシフトダウンによるものも含)

「1.」「2.」は誰でも知ってる当たり前の機能ですが、本来のバイクの「制動」とはこれらをバランス良く使う必要があります。

  • フロントだけをかけると前のめりの転倒をします。
  • リアだけだとスライドして転倒します。

理想のバランスとしてはエンジンブレーキでの減速からリアを少しずつかけながらフロントでしっかり止まる、というイメージではないでしょうか。

このフロントとリアのブレーキをバランス良く使うことは、教習所でも習っていると思いますが、この二つを使う前の「減速制動」が今回の「エンジンブレーキ」の役割だと思ってください。

走行中だけでなく、停車する手前にもエンジンブレーキで正しい減速をし安全に努めていきましょう

ライダーちゃん
ブリッキングは大切だよね~!

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