普段ミッション車に乗っていて左手でクラッチ操作している方はなんとなくクラッチという言葉を知っていて操作をしていると思いますが、中身の構造はご存知でしょうか?
実はこのクラッチ、オートマ車両にも勝手にバイクが作動させてくれているだけで仕組みとしては存在しています。
今回は皆さんが自然に使っているクラッチの仕組みについて詳しく説明していきたいと思います。
バイクのクラッチの仕組み!

画像引用:ATS
まずクラッチの構造部品の紹介をします。
- クラッチハウジング
- クラッチプレート
- フリクションディスク(プレート)
- クラッチスプリング
- 各種ボルト
が大まかな構造部品となります。
普段バイクに乗っていて、あまりこの辺を整備する機会は多くないと思いますがこの部品すべて消耗部品となっています。
できるだけ丁寧な使い方を心がけたいですね。
クラッチの種類
次にクラッチの種類とそれぞれの特徴を紹介していきます。
湿式クラッチ
市販車のほとんどに使われているクラッチの方式がこの湿式クラッチです。読んで字のごとく、クラッチ全体がオイルに浸って湿っているクラッチになります。
メリットとしては
- オイルに浸っているためクラッチの摩擦の立ち上がりが穏やかで半クラッチの操作がやりやすい。
- オイルが潤滑することによって削りカスなども洗い流されるため、クラッチ本体のメンテナンスが楽になります。
- オイルによる冷却効果があるため熱による損傷を受けにくい。
この3つがメリットとして上げられますが、特にめだったデメリットがないのが特徴です。
乾式クラッチ
湿式とは逆でオイルが使われていない乾燥したクラッチになります。
古い年式のドゥカティやNSRに用いられている方式で、クラッチを切ったときに(シャリシャリ)と特有の音がするのが特徴です。
【メリット】
- 乾いているため摩擦力が強く、よりダイレクト感のある操作感がえられる。
- オイルの抵抗がない分パワーロスを最小限にできる。
- 交換する際、オイルによる汚れを気にしなくてもよい。
【デメリット】
- 摩擦力が強いため、クラッチ操作が雑いとクラッチが焼けやすい。
- オイルに浸されていないため、保管環境や走行条件によってクラッチに錆が出てしまう。
- オイルによる洗浄作用がないため、削りカスを定期的に掃除する必要がある。
メンテナンスに少し気を使わないといけないので、知識がある人・こだわりがある人にお勧めします。
遠心クラッチ
スクーターやカブ、KSR110などに用いられている方式です。
ギアの操作は必要ですが、クラッチレバーがなくセミオートマに近いイメージのクラッチ機構となります。
クラッチのON・OFFの仕組みは、エンジンの回転で発生する遠心力によってウエイトが押し付けられクラッチがON、回転が落ちるとウエイトが自重で戻りOFFとなります。
遠心力によって作動するクラッチなのであまり強い力は得られません。なので小排気量の車両に用いられることが多い機構です。
メリットとしましては、あまり強い力を発生しないため部品同士の摩耗が少なく部品交換のサイクルが少なく済みます。
デメリットは特にありませんが、操作にダイレクト感がなく素早い操作をしたい人には少しかったるく感じるかもしれません。
クラッチの使い方、操作方法
クラッチは変速時に用います。
クラッチを切りギアを入れ、半クラッチで少しずつ動力をつなぎ発進します。
走行時のシフトアップ・ダウン時にアクセルを戻しクラッチを切り、ギアを操作し、その後クラッチをつなぎます。
シフトアップ時はパッとクラッチレバーを離して変速しても大丈夫ですが、シフトダウン時はバックトルクが大きくなるので、ゆっくりクラッチを離してあげましょう。
クラッチをいきなりつなぐとバックトルクにタイヤのグリップが負けてリアタイヤがロックしてしまう危険があります。
半クラッチとは
半クラッチとは、クラッチレバーを半分握った状態・リアタイヤが動き始めるところまでクラッチレバーを離した場所で保持した状態のことを言います。
主に発進時に使用します。
クラッチを完全に切ってギアを入れ、そこから左手の感覚を頼りに半クラッチの位置までレバーを離します。
半クラッチで動力の伝わりを感じながら、車体の動きに合わせてアクセルもゆっくり開けていきます。
車体の速度に合わせてレバーを完全に離しましょう!
半クラッチのコツ
半クラッチにコツはありません!
正直感覚におけるもののほうが多いのがこの半クラッチ操作。
クラッチの破損で一番多いのが半クラッチを多用しすぎてクラッチ版が焼けてしまうことです。
半クラッチの感覚がつかめるまで家の駐車場や、人気の少ない安全な広場で走る練習をする前に半クラッチの練習をしましょう!
感覚を掴んでしまえばあとは無意識にみんな操作しているくらいなので、あきらめずにチャレンジしましょう!
クラッチ操作に失敗してエンストしてしまったら
エンストしてしまったときは、焦らずギアをニュートラルに入れエンジンの再スタートを試みましょう!
ギアを入れたままだとエンジンをかけなおしたとき何かの拍子で急発進してしまう危険があるので、確実にニュートラルに入れましょう!
エンジンが無事にかかったら焦らずゆっくり発進しましょう。
クラッチを壊さない為に
クラッチを壊さないためにも、
【半クラッチの操作にしっかり慣れる】
半クラッチが長い、多用するとクラッチディスクの焼けにつながります。ひどい状態になるとクラッチが切れなくなり、クラッチディスクの交換になります。
【丁寧な操作を心がける】
パッパッパと半クラッチを使わなすぎるのも問題です。今度は何が壊れるかというと、クラッチハウジングが壊れます。
クラッチディスクとクラッチハウジングには少しだけクリアランスがあり、大雑把なクラッチ操作を繰り返すと、クラッチディスクがハウジングをたたいてしまいハウジングの側面が凸凹になってしまいます。
その凸凹にクラッチディスクが引っ掛かり最悪クラッチが切れなくなってしまうのです。
クラッチハウジングが非常に高価な部品ですので丁寧な操作がお財布にも優しいことを頭に入れておきましょう。
-応用編-ブリッピングをマスターしよう
ブリッピングとは、シフトダウンに用いる少し難易度の高めなテクニックの1つです!
これができることによって減速時の強いバックトルクを軽減し車体を安定させることができます。
方法は、クラッチを切ると同時に一瞬スロットルを煽り、エンジンの回転数を上げてからシフトダウンするというものです。
主にサーキットで使われるテクニックなのですが、一般道でも車体を安定させることは安全にもつながりますので、できて損はないテクニックです。
原理としましては、同じ速度でもギアを落とすとエンジンの回転数が上がります。元の回転数と変速後の回転数の差が車体の安定を乱す原因となります。
それを防止するためにシフトダウンをする前にあらかじめエンジンの回転数を上げて変化量を少なくするという操作になります。
原理は簡単なのですが、実際やってみるとスロットルを煽るタイミングやクラッチをつなぐタイミングも非常に難しいので練習する際は、一般道ではなく安全な広場等で行うようにしてください。
最後にもう一度クラッチのクラッチの仕組み・種類についてまとめます。
構造部品は
- クラッチハウジング
- クラッチプレート
- フリクションディスク
- クラッチスプリング
- 各種ボルト
となっており、こちらすべて消耗部品です!ショップでの定期的なメンテナンスをお勧めします!
種類としましては
- 湿式クラッチ
- 乾式クラッチ
- 遠心クラッチ
大きく分けてこの3つです!
この遠心クラッチ、手動のマニュアルクラッチ化キット等も出ていますので、少し不満に思われている方いらっしゃいましたらぜひ調べてみてください。
これでクラッチについての説明は終わりになります。
バイクが上手な人は、クラッチの操作がすごく丁寧です。
皆さんもぜひ一度クラッチ操作を見直してみてはいかがでしょうか?
皆さんのバイクライフがすてきなものになりまうように